近年、美容師の独立方法は多様化しています。
店舗を構え従来通りの独立から、業務委託・面貸し(フリーランス)といった働き方も独立と考えられますし、
最近では以前流行っていたFC(フランチャイズ)といった独立方法も復活してきて、大きく分けると4つの独立方法があります。
分類するとすれば
- 従来通りの独立開業とFCオーナーとしての独立が自分で店舗を構える店舗型
- 業務委託と面貸しは店舗を構えずに間借りしたり、仕事を受託して仕事をしていく契約型
美容師という仕事においては、その全てが上手くマッチしていて、働き方や独立方法を選択できる現状があります。
とはいえその中でも特に多いのは、従来どおりに自分の店舗を持ち、サロンオーナーとしての独立を希望する方達は
まだまだその数は増加している傾向があります。
- いざ自分で店舗を構え、サロンを開業するときに、何をすれば良いのか?
- 独立はまだ先だけど、今から何かやっておいた方が良い事はあるのか?
- 特に知っておいたほうが良い情報をまとめていきたいと思います。
この記事ではそういった自分の店舗を構える独立にフォーカスして、情報提供をしていきます。
美容師が独立をする為の準備
漠然と自分のお店を持ちたい、開業したいと思っているのであれば、ある程度の準備はしておいたほうが良いでしょう。
いざ動き出したときに、「お金が足りない!」「融資が受けられない!!」では夢を叶える事はできません。
実際、美容師の独立は多くの場合自己資金と併せて、融資を受ける方がほとんどです。
融資を受けずに開業できればいいですが、融資を受けるとして、そのタイミングになって準備不足にならないようにしておかなければいけません。
そこで、まずは事前に準備できる事をまとめていきたいと思います。
自己資金
美容師に限らずですが、店舗を構える独立であれば、必ずお金が必要になってきます。
どこに出店するか?どんな規模のサロンにするか?
漠然としたイメージしかない状態であっても、いざ独立の時には必ず費用がかかってきます。
では、どれくらい貯めておけばいいのか?
平均的には300万円〜500万円くらいの貯金がある方が多いです。
実際にはそれ以上でもそれ以下でも独立されている方もいますので、あくまで目安としてください。
独立の融資金額で1,000万円を融資される方が多いのですが、その場合、最低でも300万円くらいの自己資金があると安心できる金額なので、そこを目指して準備していきましょう!
とはいえ自己資金は多いに越したことはないので、いざその時までにできるだけ貯金をしておいてくださいね。
自己資金と認められるもの
銀行などでコツコツ貯金する方法が一般的ですが、銀行預金以外でも自己資金として認められるものがあります。
例えば、生命保険の解約返戻金。
生命保険というフィルターを通してですが、自身のお金を貯蓄しているとみなされるので、自己資金の1つになります。
ただし、融資を受けるタイミングで解約しておく必要がありますのでご注意ください。
NISAなどの投資や、株で貯金をするという方法もあります。
この場合も融資を受けるタイミングで現金化して預貯金しておく必要がありますが、手段の1つではあります。
とはいえ、独立開業を意識しているのであれば、できれば銀行で貯金をしていく事をおすすめします。
通帳上で預金が増えていく事を証明してくれるので、コツコツ貯金をしてきたという好印象を融資担当者に与える事ができますので、比較的にしっかりしている人というアピールにも繋がっていきます。
実際のところ、毎月少しずつでも貯金額が増えていると、しっかり準備をしてきた人と、金融機関が評価してくれますので、まずは銀行預金から始めるのがベストだと思います。
自己資金として認められないもの
では逆に、せっかく貯めていたのに自己資金と認められないケースをお伝えしておきます。
ざっくり言うと、出どころのわからないお金。
タンス預金はその最たる例です。
せっかく貯金してきたのに、それを証明できないんですよね。
融資担当者からすれば、誰かから借り入れしたのでは?他の金融機関から借金してきたのでは?と疑って当然なんです。
直前に通帳に入れても、評価は同じです。
突然数百万の入金があれば、どこから入金されたのか確認されますので、必ずマメに通帳に入金するようにしてください。
出資者がいたり、知人からお金を借りたりする話も聞きますが、これもタンス預金と同様に自己資金とは認められませんので注意してくださいね。
こちらは出どころはわかっていても、すでに知人から借金がある状態と見れれてしまいます。
口座に多額の金額が入っていても、自己資金とは判断されませんので注意してください。
親からの援助は自己資金?
これも自己資金として考えられます。
ただし、自分で貯めてきたお金が無く、親の援助のみでの融資は、相当ハードルは高く、多くの場合は断られてしまうと思ってください。
あくまで親御さん、もしくは親族からの援助金は補助のお金ですので、自己資金(自分で貯めてきたお金)がある場合のサブ的な自己資金として考えておきましょう。
自己資金が200万円、親からの援助で200万円の合計400万円の自己資金
自己資金が0円、親からの援助で400万円の合計400万円の自己資金
前者は融資可能ですが、後者はおそらく借入れはできないと思ってください。
とはいえ、自己資金が不足している場合、自己貯金以外で自己資金と認められているものではありますので、必要であれば利用していきましょう。
融資可能な状態にしておく
自己資金も貯まり、いざ融資を受けにいっても、お金が借りられない場合もあります。
例えば、過去に金融事故を起こしていたり、税金の滞納をしていたり・・・
金融機関(銀行や公庫)は、その人に融資した場合、しっかりと返済してくれるかどうかを前提に考えます。
過去に返済が滞っていたり、税金滞納が続いていたりする人がいたら、お金を貸すでしょうか?
多額の貯金がある、しかし過去に金融事故があるような人に、金融機関はお金をかしてくれるでしょうか?
過去に起こってしまった金融事故は仕方のないことですが、少なくとも独立を意識したそれ以降は、そういった事故のないようにしてください。
金融機関がチェックする項目例
一部にはなりますが、金融機関がチェックしている項目を上げておきます。
- 過去の金融事故
- 税金の滞納
- 現在のローン状態
- 確定申告書の状態(事業主の場合)
- 公共料金の滞納
これで全てではないですが、必ず調べる項目ですので、今からしっかりとした自分、しっかりと返済してくれそうな自分を作っていきましょう!
実際のところ、うっかりしてしまうこともありますよね。
数回の滞納であれば問題はありませんのでご安心ください。
逆に少額、たとえ数百円でも多岐にわたって滞納しているようであれば、融資不可と判断されますのでご注意ください。
過去の履歴を調べる方法
昔何かやってしまった気がする、昔の事だから覚えていないけど不安・・・。
そんな方は事前に自身の個人情報を調べることができます。
少し費用はかかってしまいますが、先に自身で調べておくと安心できると思います。
こちらは公庫(日本政策金融公庫)の申込書にも記載されている個人情報機関ですので、心配な方は利用してみてください。
万が一、事故があったとしても、その状態によっては融資可能な場合もありますし、年数が経過すれば事故歴がきれいになって行きますので、実際に事故歴があった方でも融資できる事はあります。
自己判断をするのではなく、あくまで判断基準の一つと考えてください。
業務委託は借入れが難しい?
こんな話を聞いたことがありませんか?
どこから情報が広がったのかはわかりませんが、実際はそんな事はありません。
しかし、業務委託の場合、サロンが税務等を管理してくれるわけではないので、自己管理が甘くなりやすいのは事実です。
そのため、確定申告を適当にやっていたり、最悪していなかったり・・・。
そういった場合は、もちろん融資に影響は出てくるでしょう。
とはいえ、上記のような事を真面目にやっていれば、同じように融資は可能ですので安心してください。
業務委託であろうが、雇用であろうが条件は一緒。
しっかりした自分、準備してきた自分であれば、金融機関は融資してくれますので、希望のサロン開業ができるでしょう。
実際のところ、美容師であろうが、それ以外の業種であろうが条件は一緒です。
独立を意識したのであれば、まずは借入をする可能性を考え、しっかりと準備をしておきましょう。
事業計画や出店後のビジョンを考えておく事ももちろん重要です。
しかし、お金が無ければどうにもできませんので、借り入れできる準備をしていきましょう。
事業計画の必要性
いざ独立で動き出すときに、まずは何をすればいいのか?
実際に美容室を開業をするときに、どうやって物件を選んだらいいのでしょう。
また、開業費用はいくらかかって、どれくらい借入れをすればいいのでしょう。
どんなサロンを作っていきたいのかを明確にすることができるのが事業計画であり、また漠然と考えてきた独立計画を、初期の段階である程度は明確にしておく必要があります。
- どんなサロンにしたいのか?
- スタッフは雇っていくのか?
- 場所はどこで勝負するのか?
- サロンの規模はどれくらいで開業するのか?
- どんなサービスをするのか?
まずは売上などの数字的な部分ではなく、自分がどんなサロンを創りたいのかイメージしてみてください。
とにかく出店できればいいという考えでは、これだけ軒数の多い美容室の中に埋もれてしまうかもしれませんし、むしろ独立という考えは少し怖い気もします。
どういった物件を探すのか、同様にどれくらいの予算を考えておけば良いのか。
それぞれの独立によって異なってきます。
自分ひとり、もしくは配偶者も美容師で、夫婦でのサロンをイメージするのか、スタッフを増やしていき、将来的には店舗展開をしていきたいのか、雇用していくのか、または業務委託サロンで展開していくのか、考え方は人によって違います。
損益分岐や細かい数字は後で考えるにしても、実際にどういった方向性のサロンにしていくか、そのために必要な物件条件は何か、また費用はどれくらいで出店できるのか。
自分のサロンをイメージしておきましょう。
特に融資で動くのであれば、必ず必要になってくる書類があります。
これらを事前にチェックしておけば、いざというときに困らないので、目を通しておくのもいいでしょう。
こちらは日本政策金融公庫のホームページになります。
ここから実際の融資書類も確認できますので、チェックしてみてください。
美容室の物件
では実際に独立という行動に移すときに、まずは物件を探さなければいけません。
エリアや大きさは事前にイメージできていると思いますが、美容室の独立では注意点が幾つかあります。
絶対に駄目というわけでもないですが、あまりにも高い家賃や、場合によっては当初計画していた場所とは違うところで出店してしまうケースもあります。
特に希望通りの物件が中々出てこないとどうしても条件がゆるくなってしまうので、注意が必要です。
美容室物件の選び方
実際に物件を探すとなったとき、どれくらいの家賃で考えればいいのか?
家賃比率という言葉を聞いたことはあるでしょか?
予測の売上に対して、10%くらいの家賃が健全な家賃の比率と考えられています。
例えば売上予測が100万円の場合、家賃は10万円くらいが理想、予測が300万円であれば、家賃は30万円以内が理想といった感じです。
都心部など、エリアによっては10%以内で収めるというのが難しくなってきますので、1つの目安と考えてください。
家賃が高すぎるとランニングコストが上がって、経営を圧迫してくることがありますし、逆に家賃が安ければそれだけ利益が出やすい経営ができますので、必ず家賃は意識しておきましょう。
数万円の違いでも、それだけの利益を出す為の売上を考えると、想像以上の負担が生じることになります。
余程のことが無い限り、移転をするという事はなく、実際には数十年その場所で美容室経営をしていくと考えたら、無理のない家賃設定になっていくはずです。
突発的な判断も時と場合によっては仕方のないケースもあります。でも、現状と今後の経営をしっかり考えた上で、テナントを選んでいきましょう。
物件の探し方
いざ物件を探す方法ですが、実際のところネットで検索する方がほとんどです。
もちろん頻繁に探すことができますし、方法の一つではありますので、ネットで探す事も必要です。
比較的に有効な手段として、地域の不動産屋に定期的に顔を出して、顔と名前を覚えてもらう方法があります。
実際のところテナント情報は、地域の不動産屋に先に入るケースが多々あります。
ネットで公開される前のテナント情報が見つかる事も多々ありますので、時間と手間をかけ、不動産屋めぐりをすることをおすすめします。
同じようにテナントを探している美容師さんや、異業種の方も多くいますので、少しでも早く情報を得ることができた方がいいですよね。
アドバイスとしては、少なくとも数ヶ月に一回は不動産屋に顔を出し、本気で出店したいという意思表示と、顔を覚えてもらうことをおすすめします。
美容室に向いている物件とは
どんな物件が美容室に向いているのでしょうか?
家賃・場所・建築年数など、その判断基準は色々ありますが、特に重要なのは自分自身の直感だと思っています。
この場所なら、このテナントなら。という物件があるはずです。
お客様が入りやすい、通いやすい、スタッフが通勤しやすいなどももちろんですが、繁盛するイメージがしっかりと湧いてくるかはとても重要だと思っています。
自分の直感だけでは不安な方は、女性に見てもらってください。
お客様の多くは女性ですので、女性目線で良さそうなのか、何か違うと感じるのか。
以前内見に行った物件で、オーナーがとても気に入った物件がありました。
けれども奥様に見てもらったところ、隣の飲食店の匂いがどうしても気になるという理由で見送ったケースがありました。
女性が多く通う美容室ですので、そういった女性目線はとても大事ですよね。
この女性目線というのも、特に重要なポイントになるでしょう。
おすすめしない物件
美容室に向かない物件もありますので注意が必要です。
1つ例を上げると、定期借家物件があります。
普通賃貸と違い、期間限定の不動産契約になります。
物件によっては、その期間満了時に再度契約できる場合もありますが、満了時に出ていけと言われればそれに従わなければいけない契約になっています。
定期借家契約は、比較的家賃が安く設定されている事も多くあります。でも満期がきたら出ていかなければならないかもしれない。
美容室の場合、多額の内装費をかけ出店することが多いので、せっかく内装費をかけて作ったのに、やっと借入の返済が終わってこれから稼ぐ、といった状況で移転しなければいけないリスクがあります。
場所も家賃も気に入ったけど、定期借家になっている物件の場合、そのリスクがあることは理解した上で、なぜ定期借家になっているか、最低でも確認しておきましょう。
実際に美容室を開業するとイメージすると、定期借家の物件は要注意が必要です。
家賃交渉
実際に動いて物件の目星がついたら、家賃交渉をしてみてください。
多くの方はそのままの金額で契約をしてしまっているようですが、家賃交渉が可能な物件は多々あります。
仮に1万円の家賃が下がれば、年間12万円、10年で120万円もの違いが出てきます。
結果、そのまま契約になる場合ももちろんありますが、家賃が下がれば儲けものですよね。
ではどの部分が交渉可能か?
特に交渉しやすいのは、家賃・保証金・フリーレントです。
ダメでもともと、下がったらラッキーくらいの感覚で交渉してみましょう!
その際、大家さんに直接ではなく、不動産屋を通して交渉してください。
不動産屋は仲介業者ですが、双方が納得いく契約を交わすために存在しています。
不動産屋が間に入ってくれれば、大家さんへの印象を悪くすることなく交渉できるでしょう。
ただし、無理な金額を提示してしまうと、物件自体が流れてしまう事もあるので、実際に交渉する場合はあまり強気な交渉は控えましょう。
申込みの必要性
せっかく良い物件が見つかったのに、他の人に取られてしまっては勿体ないですよね。
そうならないように覚えておきたいのが、この申込みです。
要は、そのテナントを借りる意思表示をして予約しておくということです。
先に物件を見た順番で交渉権利があるように思いますよね。でも実際には違うんです。
物件を見に行く順番ではなく、この申込みの順番で借りる優先順位が決まってきます。
ですので、物件を内見に行き、動く可能性があるのであれば、早めに申込みを入れておいてください。
申込みを入れたからといって、必ず契約しなければいけないというわけではありませんし、費用もかかりません。
とはいえ、何でもかんでも申込みを入れて、キャンセルをしてを繰り返すと、不動産屋からすれば借りる意思のない人と判断される事もあり、むしろ物件情報が入手しにくくなってしまう場合もありますので、注意してください。
先に申込みが他から入っていても、その人が必ず借りることが決定しているわけではありませんので、気に入った物件であれば2番手、3番手でも申込みを入れることをおすすめします。
美容室の融資
多くの独立は、金融機関から借入れをしています。
自己資金や親族の援助だけで出店できればいいのですが、実際にはそうはいかない事が多いです。
その理由としては、内装費や美容器具など費用がかかるものがあり、それだけでも1,000万円近くかかってきます。
そういった場合に銀行や信用金庫、公庫(日本政策金融公庫)から融資を受けて独立していきます。
美容師、美容室の独立に深く関わっていて、一番の不安を抱えるところでもあります。
融資の流れ
実際のところ、多くの方が不安なのはこの融資ではないでしょうか?
借入れができなければ、独立計画も止まってしまいます。
でも、先に借入れできる準備ができていれば、そう難しくないはずです。
むしろここさえクリアできてしまえば、独立へと大きく前進するでしょう!
実際に融資はどんな流れで進んでいくのか。
基本的な流れとしては
- 融資書類を用意する
- 面接の日程を組む
- 融資面接
- 融資決定
- 融資実行
ざっくりとした流れはこんな感じでしょうか。ここに不動産契約の流れを組み込んでいくと
- 融資書類を用意する
- 物件内見
- 物件申込み
- 融資の日程を組む
- 融資面接
- 融資決定
- 不動産契約
- 融資実行
こんな流れになります。
もちろん前後することや、同時進行というケースもありますので、工程通りに進まない事もありますが、流れはこんなイメージです。
注意点としては、早くに不動産契約をしてしまうこと。
どうしても契約しなければいけない場合もありますが、できれば融資決定後に不動産契約をしてください。
万が一融資が受けられないことになってしまうと、家賃や礼金、仲介手数料など、返金されないお金が多くありますので、先に不動産契約をする場合は、それを理解した上で契約を結びましょう。
同様に、早期の内装契約も控えてくださいね。
銀行と公庫
結果として、借入れできればどちらでも大丈夫ですが、多くの方は公庫を利用しています。
その理由は大きく2つ。
融資までの期間と、融資手数料(融資利息とは別)がかからない。
特に注意したい点は、銀行や信金での融資は、保証協会を通しての融資になってきます。
保証協会とは、万が一融資返済が滞ってしまったときに、自分の代わりに保証人の代わりに返済を担ってくれる機関です。
その保証協会が間に入る融資になりますので、保証協会の審査と銀行の審査、2回の審査が入ることになるので、融資実行までに時間がかかってきます。
さらに、無償で保証人になるわけではないので、手数料が数十万円かかります。
そういった部分もあり、美容室の独立の場合、公庫を利用する方が多いですし、公庫を推奨もしています。
ただし、高額の融資の場合は、公庫と銀行を併用する場合もありますし、実際に事業を展開していく上では銀行から融資を受けることもありますので、経営していく上でどちらも活用することになっていくケースが多いです。
メガバンクと地方銀行(信用金庫)
美容室を開業すると、必ず金融機関とのお付き合いが必要になります。
どこをメインバンクにするかで、今後融資を受けることになったときに借りやすい、借りにくいという違いが生じます。
メガバンクと言われるような大きな銀行だと、何だか安心感がありますよね。
でもメガバンクと言われているような銀行はあまりオススメしません。
個人事業や中小企業だと、比較的融資のハードルが高く、借り入れしにくい傾向があります。
その反面、信用金庫や地方銀行と言われるところは、地域密着型ですので、融資の際も力になってくれることが多いので、サロンや自宅に近い、大きすぎない金融機関をメインにすることをおすすめしています。
実際のところは店舗に近い、利用しやすいという理由からメガバンクを使っているサロンもありますが、経営をしていく上では、地方銀行や信用金庫を活用しておくといいでしょう。
いくらまで融資可能か?
では、実際にいくらまで融資が可能なのか?
例外ももちろんありますので一つの目安としてですが、基本は1,000万円と考えておいてください。
それ以上の融資を希望する場合は、公庫と銀行それぞれ1,000万円、合計2,000万円までは融資可能ですが、もちろん融資のハードルは上がり、時間もかかってくるでしょう。
融資金額を上げる方法と、美容器具などをリースにするという方法もありますので、計画を建てて融資に望みましょう。
リースとは
手元にお金を残しておきたい場合に有効な手段です。
要は、リース会社がその物の所有権を持っていて、その会社からレンタルをしているイメージです。
ただし、レンタルとは異なりリース会社が自分の代わりに購入してくれているので、そのリース期間中の解約などは、特別な場合を除いてできませんのでご注意ください。
そのため、通常の買取などに比べて金額は高くなってきますし、リースが続く限り費用が発生しますので、買えるものは買う、一部リースを活用するというケースが多いです。
リースと買取、どっちが得なのかという話がありますが、特にどちらが得ということはなく、実際にはどちらにもメリット・デメリットがありますのでどちらが良いという話ではないので、どちらも上手く活用していましょう。
融資返済期間の設定と元金据置
どれくらいの期間で返済していくのか良いのか?
基本的には融資返済期間は10年の方が多いです。
人によっては早く返済したいということで、5〜7年で返済している方もいますが、10年返済をおすすめしています。
融資の返済金は、経費にはならないというのをご存知でしょうか?
仮に1,000万円の借入れをした場合
1,000万円÷10年÷12ヶ月=8,3万円/月の返済額 年間99,6万円の返済
1,000万円÷5年÷12ヶ月=16,6万円/月の返済額 年間199,2万円の返済
(上記金額+借入利息がかかってきます)
この金額を返済していきますが、この元金返済は経費にならないんです(返済利息は経費です)
要は、通帳にはお金が残っていないのに、税金はかかってくるんです。
開業当初は売上もわからず、どれだけ利益がでるかわからない状態ですので、できるだけ返済月額を抑えた方が安心できるでしょう。
もちろんその分の利息が増加しますが、数年経って、キャッシュに余裕ができれば残った借入れをまとめて返金もできますので、返済期間を長くしておく事をおすすめしています。
更に、元金据置という処置を利用する事ができます。
これは開業当初、どれくらいの利益がでるかわからない、事業が軌道に乗るまでの救済処置で、返済利息だけ支払えば元金返済を数ヶ月遅らせる事ができる仕組みです。
特にオープン時の売上が不安な方は、この制度を利用するといいでしょう。
ただし、通常返済よりも少し多く利息を支払うことになりますので、上手く活用するようにしてください。
事業計画
融資を受けるときに、一番のハードルになるのがこの事業計画だと思います。
大きく分類すると、自己アピールと事業予測です。
まずは自己アピールの部分ですが、どんな人が、どんな想いで、どんなサロンを作りたいのかを書いていきましょう。
おそらく頭の中に、色々やりたいことや独立に至るまでの経緯は詰まっているはずです。
それを文章化していくのですが、ここで時間がかかる美容師さんが結構多いです。普段文章を書くことになれていないと思いますので、早めに手をつけていきましょう。
事業予測に関しては、開業にいくらかかるのかという予算の部分と、開業の損益計算の2種類があります。
予算に関しては、どこにいくらかかるので、いくら融資を受けたいという融資額に関わる部分なので、しっかりと計算が必要です。
特にここの数字の辻褄が合わないと、減額されてしまったり計画の見直しを求められてしまったりしてしまうので、内装・ディーラーさんからの見積もり、不動産取得費など、金額を確認しながらすすめていきましょう。
損益計算に関しては、事業がどのように推移していき、どのように利益がでるから、しっかり返済できます、という試算になります。
かかってくる経費など、できるだけ細かく予測して、分類して行きましょう。
あまりにも利益がでない状態が続いたり、逆に楽観的すぎる試算は悪印象を与えてしまいますので、現実的かつ、事業としてしっかり儲けられるという計画を提出しましょう。
事業計画を依頼してしまう
これも1つの方法です。
基本になる数字は頭にあるけど、それを資料に中々できないという方も多いですが、そういった場合は業者等に依頼してしまうという手段もあります。
自分で作成すると、その資料次第で金融機関のチェックが入り、数回作り直さなければいけない事もあります。
そうなると、独立計画が遅れていく可能性もありますので、事前にある程度完成させておく必要があります。
実際に依頼する場合は費用がかかってくる場合もありますが、サービスで作成してくれるところもあったりしますので、より確実に、時間短縮したいのであれば、むしろ税理士や専門業者に依頼してしまうのもいいでしょう。
一番時間がかかってくる部分を、依頼して解決してしまうという方法もありますので、大まかな部分は自分でやってみて、仕上げは依頼するというのも事業計画の作り方の1つです。
会社設立をすると、借入れがしやすくなる?
こんな情報を聞いたことはありますか?
結論からお伝えすると、美容室の開業に関しては、個人事業でも法人事業でも融資のハードルは変わらないです。
確かに将来的に事業を展開していく上では、法人(会社)の方が借入れしやすく、借入れ金額の上限も増えていきやすいという事実はあります。
しかし、開業という融資に関しては、個人事業も法人事業も同様に、新設事業と判断されますので、わざわざ会社を作る必要はありません。
むしろ法人設立をしてしまうと会社設立費用がかかるのと(おおよそ30万円くらい)スタートから社会保険加入という義務が発生してしまうので、あまりメリットはないと考えています。
美容室の内装
美容室の独立において、特に費用がかかってくるこの内装。
安く仕上げる事も可能ですし、逆にやりたいことを詰め込んでいく事も可能です。
どれくらいの費用がかかるのか?どんな業者を選べばいいのか?
費用が大きくかかるので、失敗は避けたいところですよね。
費用をかければカッコいいサロンができるわけでもないですし、安くてもカッコいいサロンは作れます。
とはいえ、ある程度の資金を投入しなければ、実際に出来上がってみるとマンションの一室のような、家っぽいサロンができてしまうこともあるんです。
どういった内装を作っていきたいのか、しっかりイメージをして打ち合わせをしていきましょう!
内装費用の相場
相場としては、1坪50万くらいを目安にしてください。
一昔前に比べると、10%〜20%くらい費用が上がっているのが現状です。
ただし、狭くなればなるほど坪単価は上がっていき、広くなればなるほど坪単価は下がっていきます。
その理由として、内装費には大きく変動するものとしないものがあります。
ざっくりですが、20坪のサロンであれば1,000万円、10坪であれば700万円といったイメージです。
実際にはやる内容によったり、費用が変わってくるのであくまで目安にしていただければと思います。
面積が広くなればなるほど材料費は上がっていきますので、その分坪単価は上がっていきます。
しかし、広くなってもそこに関わる職人さんの人数が変わらなければ、人件費はそこまで変動しません。
これより大きなサロンになれば、坪単価は少し下がっていくでしょう。
そういった変動しない費用の部分が内装費に大きく関わってきますので、小規模のサロンでも結構な金額がかかる理由は、そこに関わる職人さんの人数が変わらないといった理由があるんです。
内装業者の選び方
では、実際にどういった基準で内装業者を選んだら良いのか?
まずは一つ、金額で選ぶのであれば、知人に依頼するのがもちろん安くしてくれる可能性が高いです。
安いに越したことは無いので、その選び方も間違いではないでしょう。
もう一つ重要なポイントがあって、実際に美容室を作っているかどうか。
これは結構重要なポイントで、作ったことが無いはもちろん、作ったことがあるというのも要注意です。
要は、美容室内装の経験値が高いかどうかが重要だと思っています。
デビューしたてのスタイリストと、10年スタイリストがいたとして、どちらに髪を切ってもらいたいか?
例えば人生の一大イベント結婚式などが控えているとしたら、そのヘアスタイルでしばらく過ごさなければいけないとしたら、どちらを選ぶでしょう?
おそらく後者を選ぶはずです。
むしろ金額は高くなっても、その状態で暫く過ごさなければいけない状況であれば、経験豊富な方に依頼するはずです。
内装も同様です。
知人が美容室を作っている業者というのがベストですが、中々そうはいかないと思いますので、内装業者選びは慎重に行ってください。
美容室を作っている内装業者と、美容室を作ったことがある業者では、大きく仕上がりが変わってきますので、できるだけ経験豊富な業者を選択しましょう!
身内や知人はやめた方が良い?
圧倒的な安さで内装を作る手段でもある、この知人に依頼する方法。
内装費は高くなるものなので、少しでも安いほうがいいですよね。
実際のところ、友人や身内に依頼すれば、100万円単位で安くなることも多々ありますので、予算に不安がある場合はもちろんこの選択もありです。
注意する点を上げておくと、美容室経験が浅いようであれば、そのレイアウトから自分も参加し考えていかなければいけません。
セット面の間隔、シャンプー台のスペース、動線など美容室は特殊な作りをしています。
実際に出来上がった後で修正するにしても、追加の費用や時間がかかってしまうので、美容室経験が浅いようであれば、こちらが主導権を持ってレイアウトしていくようにしましょう。
更に、可能性としてですが、オープン予定が若干ずれる傾向にあります。
業者さんは安くしている分、日程に余裕をみたり、他の現場と併せて進行していたりしている場合もあります。
もちろん絶対に遅れるわけではありませんが、安くしてくれているのであれば、それくらいは我慢しなければいけない部分だと思っておきましょう。
内装費用の相見積もり
内装業者選びに迷ったら、相見積もりという方法があります。
それぞれ図面や金額を出してもらい、気に入った業者と話をすすめる方法です。
判断に迷ったら相見積もりをおすすめしますが、注意点があります。
当初提示された金額で判断してしまうと、業者選びを失敗してしまう可能性があります。
美容師さんもそうだと思いますが、他が安いから金額を下げて、同じ金額でカットをするということはしないですよね。
いい業者さんほど仕事があり、値引きをしてこないですし、むしろ離れて行ってしまうでしょう。
ですので、初めはデザインやフィーリングで内装業者を選択し、後から金額の交渉、すり合わせをしていくようにしましょう。
それでも金額が難しいようであれば、もう一社もしくは他の業者を選択していくやり方をすれば、比較的ではありますが、大きな失敗は少なくなるはずです。
それと初めから1社に絞らないやり方ですので、通常より少し内装打ち合わせに時間がかかってきますので、開業日が決まっている場合は注意が必要です。
前に記載したように、美容室を実際に作っている業者さん同士の相見積もりであれば、尚良しですね。
実際のところ、高い安いはもちろんありますが、美容室の開業費用で一番高いのはこの内装費です。
せっかく費用をかけるのであれば、失敗したくないですよね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
美容師さんが美容室開業時に考えなければいけない重要なポイントの物件・融資・内装についてまとめてみました。
美容室は比較的に、異業種よりも独立しやすい業種でもありますが、決して簡単なわけではありません。しっかりと準備をして、いざ独立に向けて動き出すときに困らないよう事前準備も怠らないようにしましょう。
実際に独立に向けて動き出すと、色々な情報が入ってきます。
その中で何を選択していくか、経営者としての判断が必要になってきます。
すでに独立されている、サロン経営をされているオーナー達も同様に選択をしています。
情報を取捨選択し、より良いサロンを、スムーズな独立を目指していきましょう!
ここに書いた以外にも、独立に関わる知っておきたい情報をまとめていきますので、参考にしていただければ幸いです。
独立開業セミナーも再開しています。
この記事にある内容をより詳細に、現状を踏まえた情報をお伝えしていくのはもちろん、独立に関わる助成金や補助金の情報、労務・税務などについてもお話していきます。
実際の開業事例なども合わせてお話していきますので、ご希望の方は下記リンクからお申し込みください。
こちらの記事では、美容室が使える助成金・補助金についてまとめています。
是非参考になさってください。